結論:クライアント承認の曖昧さは、承認をタスク化・多段階承認をチェックリストで段階管理・承認の根拠と日付をコメント欄に記録・承認待ちステータスを可視化、の 4 点で取り除ける。

「あの件、承認取りましたっけ?」

制作案件で頻繁に発生する確認会話です。デザイン案を送って、クライアントから「いい感じです」と返信が来た。これは承認なのか、感想なのか。先に進めていいのか、まだ確認待ちか。

承認の曖昧さは、制作プロセス全体に不確実性を持ち込みます。先に進めば「承認していない」と言われるリスク、止まれば納期が圧迫されるリスク。

この記事は、クライアント承認をタスクに乗せて運営する方法を解説します。

承認が曖昧になる構造

承認が曖昧になるのは、4 つの構造的な要因があります。

入り口がバラバラ。承認返答がメール、Slack、口頭、電話、複数の窓口から散発的に届く。「先週の打ち合わせで OK と言っていた気がする」が証拠になるかどうか、お互いに自信がない。

決定権者が不明。「窓口担当者の OK」は承認なのか、それとも上司に確認するのか。クライアント社内の承認チェーンが見えていないと、制作側は誰の OK で動いていいか分からない。

記録が分散している。メールのスレッド、Slack の DM、議事録、それぞれに承認の根拠が散っている。半年後に「あれって承認済みでしたっけ」を確認したいとき、どこを探せばいいか分からない。

承認待ちが見えない。クライアント社内の承認プロセスが進んでいるのか、止まっているのか、制作側からは不可視。「待っているけど、待っている」状態だけが続く。

これらが重なると、承認の曖昧さが常態化し、後から「言った・聞いていない」が発生する温床になります。

承認を「タスク」として設計する

最初の解決は、承認を独立したタスクとして扱うことです。

「デザイン v2 の承認」というタスクを 1 つ作り、担当者にクライアント側の窓口担当を設定する。期日(承認期限)を設けて、「この日までに承認をお願いします」とコメントで案内する。承認が下りたらタスクを完了にして、コメント欄に承認の記録(誰がいつ、どのような形で)を残す。

このやり方の利点:

  • 承認待ちの状態が「タスクとして見える」
  • 期日があるので、「いつまでに」のプレッシャーが共有される
  • 完了マーカーが「承認済み」のシグナル
  • 承認の記録がタスクと紐づいて永続化する

メールで「OK です」と返ってきても、PM が代理でタスクに記録すれば足ります。重要なのは「承認の状態がタスクとして可視化されている」こと。

多段階承認の扱い

クライアント社内に複数の承認者がいる場合、段階ごとにサブタスクまたはチェックリスト項目を作ります。

「デザイン v2 の承認」というタスクの下に:

  • 窓口担当者の確認(A さん)
  • マネージャーの承認(B さん)
  • 法務チェック(必要な場合のみ)
  • 最終承認(C 役員)

このようなチェックリストを設定。タスク管理ツールがチェックリスト機能を持っていれば、それぞれをチェック式で管理。なければ、サブタスクとして個別タスクで管理。

これで、承認プロセスのどの段階で止まっているかが、制作側からも見える状態になります。「マネージャー承認待ちで 3 日止まっている」が分かれば、窓口担当者に催促するか、代替案を準備するか、判断できます。

決定権者を最初に明確にする

多段階承認を扱う前提条件として、キックオフ時に「誰が何の決定権を持つか」を確認しておきます。

確認すべき項目:

  • デザイン承認の最終決定者は誰か
  • スコープ変更の判断権者は誰か
  • 契約金額変更の権者は誰か
  • 緊急時の代替判断者は誰か

これを「決定権者の確認」というキックオフタスクのコメント欄に記録しておくと、後でプロジェクト全体を通じて参照できます。

決定権者が明確になっていないと、「いったん A さんの OK でいいですか」が「結局 B 部長の判断待ちだった」に化けることがあります。最初に確認するのが安価です。

承認の記録の残し方

承認が下りたタスクには、コメント欄に以下の情報を残します:

  • 日付(YYYY-MM-DD 形式で)
  • 承認者の名前と役職
  • 承認の根拠(口頭・メール・タスクコメント・ミーティングなど)
  • 元のメッセージの引用(メールなら本文の抜粋を貼る)

記録例:

2026-05-10 11:30、B マネージャーから「v2 案で進めてください」と承認のメール。原文:「先日いただいたデザイン v2、社内で確認しました。指示通り進めて問題ありません。」

これだけ書いておけば、半年後に「あの承認、誰がいつしたんでしたっけ」が起きても、タスクのコメント欄を見れば即座に分かります。

「承認待ち」を見える化する

タスクのステータスに「承認待ち」を明示的に設けるか、タスク名のプレフィックスで管理します。

例:

  • [承認待ち] デザイン v2 の確認
  • [承認待ち] コピー案 v3 の確認
  • [承認待ち] 公開日の確定

タスク一覧でフィルタすると、「承認待ち」のタスクだけが抽出される状態を作っておく。週次の社内 mtg で「今承認待ちで止まっている案件はこれだけです」を即座に共有できるようになります。

承認待ちの長期化は、隠れた案件遅延のシグナルです。可視化することで、対処の判断が早くなります。

承認のリマインドは PM が担当する

承認待ちが長引いた場合のリマインド責任は、制作側の PM が担います。

「ご確認お待ちしております。納期が X 日に迫っているため、X-2 日までに承認いただけると助かります」というメッセージを、タスクのコメント経由でクライアント窓口担当に送る。タスク管理ツール上での連絡は記録が残るので、後から「催促していなかった」と言われるリスクも下げられます。

催促の頻度は、納期から逆算して 3 日前、1 日前、当日朝、というリズムが一般的です。最初から「このリズムでリマインドします」とキックオフで合意しておくと、催促が気まずくなりません。

関連記事

キックオフでの合意項目(決定権者の確認を含む)は クライアントとのキックオフをタスク管理で仕組み化する、修正依頼の処理は デザインフェーズの「修正のキャッチボール」を減らす設計 を参照してください。

外部メンバーとの仕事を回す全体像は 外部メンバーとのチームタスク管理 完全ガイド にまとめています。

Paqut で、承認フローを運用する

この記事で書いた承認フローは、Paqut なら 3 ステップで運用できます。

  1. 「デザイン v2 承認」というタスクを作って担当をクライアント窓口に設定
  2. 多段階の承認はチェックリストで段階管理(担当 → 上司 → 法務 → 最終)
  3. 承認のメール文面・日付・承認者をタスクのコメント欄に記録

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