外注先が増えると、いつのまにか「どこに何が保存してあるかわからない」状態になる。
メールの添付、クラウドストレージのフォルダ、チャットのやりとりの中に貼ったリンク——書類が散在しているだけでなく、「この人と正式な契約を交わしたか」自体が曖昧になっていることもある。
問題が起きてから書類を探すのは遅い。整理するなら早いほど楽だ。
なぜ書類管理が崩れるか
外注先との取引は、最初は少額・短期間・単発であることが多い。そのため「わざわざ契約書を作るほどでもない」という判断になりやすい。
最初はそれでも問題が起きない。問題が起きるのは、取引が継続したり金額が大きくなったりしたあとだ。「去年はこの条件でお願いしていたはず」「この納品物の権利はどちらに帰属するか」という確認をしようとしたとき、根拠になる書類がない、あるいはどこにあるかわからないという事態になる。
外注先との間でトラブルが生じると、証拠になるのは書面だ。口頭の合意や、チャットのやりとりだけでは、細かい条件の確認が難しい。
最低限整えるべき書類の種類
発注書(または業務委託の覚書)
発注のたびに発行する書類で、依頼内容・納期・金額・支払い条件を明記する。
長文の契約書を作る必要はない。A4一枚以内で、上記4点が記載されていれば十分に機能する。
毎回作るのが手間であれば、テンプレートを用意して案件名と金額と納期だけを変える形にする。10分以内で作れる仕組みがあれば、発行を習慣にしやすい。
業務委託基本契約書
長期にわたって取引が継続する外注先には、基本契約書を一度交わしておくと以後の取引が楽になる。
個々の発注条件は発注書で管理し、守秘義務・権利の帰属・支払い条件などの基本的な取り決めは基本契約書に集約する。
一度交わしてしまえば、次の発注からは「基本契約書に基づいて」という前提で進められる。
請求書と支払い記録
外注先から受け取った請求書は、支払いが完了した記録とセットで保存する。
「払ったかどうか」を確認する手段は思った以上に重要で、外注先からの問い合わせに対して即座に答えられる状態を作っておく。
保存場所の設計
書類の保存場所は、「案件ごと」か「外注先ごと」かどちらかを軸にする。
案件数が多い場合は「外注先ごと」のフォルダ構造が使いやすい。同じ外注先との取引履歴が一か所にまとまるため、過去のやりとりを振り返るときに探しやすい。
案件の規模が大きく、複数の外注先が一つの案件に関わる場合は「案件ごと」のフォルダ構造が向いている。案件が終了したときに関連書類をひとつのフォルダに集約できる。
どちらの構造をとるにしても、ルールは全体で統一する。自分だけのルールでも、チームで使う場合でも、「どこに保存するか」が決まっていないと、新しい書類のたびに置き場所が変わり、結果的に散在する。
書類の存在を外注先にも確認してもらう
発注書や基本契約書を送ったあと、外注先から「受け取りました・確認しました」の返答をもらうことを習慣にする。
一方的に送って終わりにすると、「受け取っていない」「内容を確認していない」という状況が後から生まれやすい。
メール・チャットどちらでもよいので、書類の送付後に一言確認を取る。これだけで、のちのちの「言った・言わない」の発生をかなり減らせる。
書類管理は、問題が起きないあいだは後回しにしやすい。しかし一度整えてしまえば、以後の外注先の追加や案件の増加にも対応できる土台になる。
外注先が3人を超えてきたタイミングは、書類の管理方法を整える最後の簡単なタイミングでもある。