SlackもChatworkもLineも、速い。送ったらすぐ届く。返信もすぐ来る。

でも3日後に「あの件どうなってましたっけ」とスレッドを掘りに行くと、何百件もの別のやり取りの中に埋まっている。「届く」と「残る」は、別の話だ。

AIが変えたのは「作る速さ」だけ

AI駆動開発が普及して、実装の速度は変わった。以前なら2週間かかっていた機能が、3日で動くようになった。

でもプロジェクトが速くなったかというと、そうではない。実装が速くなった分、承認やフィードバックの遅さが目立つようになっただけだ。ボトルネックが「作ること」から「決めること」「伝えること」に移った。

その「決めること」「伝えること」の場所が、今もチャットのまま変わっていない。

チャットで仕事するチームが抱える問題

チャットの問題は速さではない。「積み重ならない」ことだ。

会話が流れる。重要な確認が、前後の雑談に埋まる。週が変わると「どこで何を決めたか」を探すことから始まる。次の担当者への引き継ぎで、また同じ議論が始まる。

チャットは「今この瞬間のやり取り」には最適化されているが、「プロジェクトの文脈を蓄積する」には向いていない。

タスクのコメント欄は残る

タスクごとにコメント欄があれば、やり取りの場所が変わる。

「このデザインで進めてください」「この仕様で合っていますか」——タスクに紐づいた会話は、そのタスクが生きている間ずっと残る。3日後に見返しても、3週間後に見返しても、「このタスクについて誰が何を決めたか」がわかる。

担当者が変わっても、引き継ぎのための説明が減る。「タスクのコメントを見てください」で済む。

「速い」と「残る」を両立する設計

チャットが速いことは本当だ。速報的なやり取りにはチャットが向いている。

ただ、プロジェクトの意思決定を流す場所にはならない。「このタスクについての判断はこのタスクのコメント欄で」という設計にすると、速さを失わずに積み重ねが生まれる。

チャットとタスクを用途で分ける。チャットは「今すぐ伝えたいこと」に使う。タスクは「プロジェクトの文脈として残したいこと」に使う。この使い分けが、AI時代のプロジェクト設計の基本になると思っている。

なぜ今この設計が重要か

実装が速くなった時代に、プロジェクト全体を速くするには「作る」以外の部分の設計が鍵になる。

承認が遅い、確認が迷子になる、同じ話を繰り返す——これらはツールの問題ではなく、「どこで何を決めるか」の設計の問題だ。チャットで全部やろうとすると、速くなったはずの実装が、次の判断を待って止まる。

作る速度が上がるほど、残すことの設計が重要になる。チャットは速い。でも積み重ならない。


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