Paqutを作るきっかけになった体験の話をします。

数年前、あるクライアントとの仕事で、先方が使っているChatworkでのやり取りを求められた。相手の環境に合わせるのは受ける側の礼儀だと思っているので、迷わず合わせた。

Chatworkにはタスク機能がある。だから最初は、何の問題もないはずだった。

自分の仕事を終えても、仕事が進まない

使い始めて気づいたのは、チーム内のやり取りが流れ続けるということだった。

自分がやるべきことは、きっちりやる。期限までに仕上げて、依頼も明確に投げる。ここまでは自分でコントロールできる。

問題はその先だった。こちらが依頼したものを、相手が見逃す。あるいは一度見たのに、他のメッセージに押し流されて意識から漏れる。そうなった依頼は、流れていって「なかったこと」になる。

時間が経ってから、「そういえば、あれできてない」が起きる。一度や二度ではない。多々あった。

流れていったのは情報ではなく、約束だった。

誰も悪くない。だから、たちが悪い

はっきりさせておきたいのは、相手が怠慢だったわけではないということだ。Chatworkが悪いツールだという話でもない。チャットは即時のコミュニケーションには優れている。

「そういえば、あれできてない」は、人の怠慢ではなく、構造が生む現象だ。

フロー型のツールでは、すべてのメッセージが同じ川を流れる。重要な依頼も、雑談も、確認も、同じ速度で押し流されていく。読んだ瞬間に対応できなければ、依頼は下流に消える。拾い直す仕組みは、受け手の記憶力しかない。

この構造の中では、自分の仕事を完璧に終えた日でも、仕事は前に進んでいない。相手の川の中で、こちらの依頼が沈んでいるからだ。そしてそれに気づくのは、いつも締切の後だった。

ストレスを感じ続けた。だが本当の問題はストレスではない。仕事が前に進まないことだ。

AIは、この問題を悪化させる

この体験をしていた頃、もうひとつ考えていたことがある。

AIを仕事に使うことが当たり前になれば、一人が処理する仕事のボリュームは確実に増える。作る速度が上がるということは、依頼と確認とやり取りの数が増えるということだ。

AIが仕事を速くするほど、川を流れるものは増える。

流れて消える構造のままボリュームだけが増えたら、どうなるか。「そういえば、あれできてない」が、多々あるどころではなくなる。仕事の速度を上げたはずのAIが、抜け漏れの速度を上げることになる。

こんなことをしていてはダメだ。そう思って、Paqutを作ることにした。

流れないタスクを作る

Paqutの設計の中心には、この体験がそのまま入っている。

依頼はチャットの川に流さず、タスクとして固定する。タスクには担当者と期日が付き、完了になるまでそこにあり続ける。相手が見逃しても、流れて消えることはない。翌週開いても、そこにある。

やり取りもタスクの上に積む。依頼の経緯・修正の指示・完了の確認が、その仕事の単位で残る。3ヶ月後に「あの件どうなったっけ」と思ったら、川を遡るのではなく、タスクを開けばいい。

社外の相手であっても、だ。あのときの自分とクライアントのように、会社をまたいだ相手とこそ、約束は流れやすい。だからPaqutは外部の人を何人でも無料で招待できる設計にした。約束を固定する仕組みに、会社の垣根で課金の壁を作りたくなかった。

自分の仕事をきっちりやった人の仕事が、ちゃんと前に進む。それだけのことを、構造で保証したかった。


依頼が流れて消えない場所で、外部の相手との仕事を進められます。ゲスト招待は何人でも無料です。

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