イベントの案件管理が難しいのは、関係者の種類が多いからだ。
クライアント、会場担当、PA・音響、映像・配信、グラフィック、MC、警備——一つのイベントに関わる外部の人間が5社を超えることはざらにある。それぞれに依頼を出し、それぞれの確認を待ち、それぞれの進捗を追う。
この管理を「メールとチャットと記憶」で回そうとすると、必ずどこかで穴が開く。
イベント業の管理で起きがちなこと
イベント会社の制作進行を聞くと、だいたいこういう構造になっている。
クライアントへの確認はメール。外部スタッフへの依頼はSlackやChatwork。社内の進行管理はExcelかスプレッドシート。それぞれが別の場所にあって、「あの件のステータスを確認しようとすると複数ツールを横断する必要がある」という状態だ。
本番が近づくほど確認が増える。確認が増えるほど、どこに何を聞いたか追いにくくなる。開催1週間前に「あの件どうなってますか?」が10件重なる、という経験をしたことがある担当者は多いはずだ。
依頼をタスクとして管理する
解決の方向は、依頼の単位をタスクとして持つことだ。
「PA機材の搬入経路を確認する」「バナーのデータを入稿する」「会場との鍵の受け渡し方法を決める」——これらを口頭やチャットで処理せず、それぞれをタスクとして立てる。タスクには担当者、期日、ステータスがある。
担当者が変わっていても、期日が変わっていても、タスクを見れば現状がわかる。「あの件どうなってますか?」の代わりに、朝にタスク一覧を確認する習慣になる。
外部スタッフをゲストとして招待する
外部スタッフへの依頼もタスクとして管理する場合、相手にもそのタスクを見てもらう必要がある。
参加範囲を制限して招待できるツールであれば、外部スタッフは自分が担当するタスクだけを見られる。他のクライアントやスタッフの情報は見えない。招待された側は、担当タスクのステータスを動かし、コメントで状況を共有する。
発注する側は朝にタスクを確認する。納品待ちのタスクが動いているか、止まっているかが一目でわかる。止まっているタスクに「何か詰まっていますか?」と声をかける——これは催促ではなく支援だ。
クライアントとのやり取りも同じ場所に
クライアントからの修正依頼や確認事項も、同じタスク管理の仕組みに乗せることができる。
「この動線でいいですか」「このビジュアルで進めますか」という確認を、メールで送って返信を待つより、タスクのコメント欄に書いてもらうほうが速い。クライアントが確認したタイミングでコメントが来る。制作側はそれを受けて次を動かす。
会場担当、外部スタッフ、クライアントが同じツールを使い、それぞれ自分に関係するタスクだけを見ている状態が、イベント業の案件管理の理想に近い形だ。
外部が多い業種でのコスト設計
イベント業は案件ごとに関係者が変わる。ある案件では映像会社が入り、次の案件では入らない。外部スタッフの顔ぶれが毎回違う。
ゲストの招待に都度費用がかかる仕組みだと、プロジェクトの規模によってコストが読めなくなる。外部スタッフを何人招待しても料金が変わらないツールであれば、案件の規模に関係なく同じ設計で回せる。
本番当日の「確認電話」が減る
案件管理が整うと、当日の確認電話が減る。
「搬入の時間、何時でしたっけ」「担当者の名前、もう一度教えてください」——これらはすべてタスクのコメント欄やメモに残っている。当日になって探し回らなくて済む。
イベントの制作進行は、当日に集中するためにある。そのための余力を事前の情報整理で作ることが、案件管理の本来の役割だ。
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