翻訳会社や翻訳チームの案件管理は、複数クライアント・複数翻訳者が同時に動くことが多く、管理の複雑さが増しやすい。

「どのクライアントのどの案件が今どの翻訳者にあって、いつ納品なのか」を常に把握するのは、スプレッドシートや口頭の確認だけでは追いつかなくなる。

翻訳業務で起きる案件管理の問題

翻訳案件は他の業務と構造が異なる点がある。

納品単位が細かく、同時並行が多い。1クライアントから複数の案件が同時に走ることも珍しくなく、各案件に異なる翻訳者が当たっていることがある。

翻訳者が外部(フリーランス)にいることが多い。社内でコミュニケーションが完結せず、翻訳者への連絡はメールやチャットで、進捗確認は「何日かに一度確認する」という形になりやすい。

修正対応の記録が残りにくい。クライアントからの修正指示が何度か往復すると、最新の指示がどこにあるか分からなくなる。翻訳者に「前回の修正内容ってどこに書いてありましたか」と聞かれる状況が生まれる。

翻訳案件の典型的な流れ

翻訳1案件の流れは、おおむね次のようになる。

  1. 原文の受領・文字数の確認(社内)
  2. 翻訳者のアサイン・依頼(言語ごとに別の翻訳者)
  3. 翻訳の完了・社内確認
  4. 校正者への依頼(別の外注先)
  5. DTP・レイアウト(必要な場合は別の外注先)
  6. クライアントへの確認依頼
  7. 修正対応・最終納品

ここに複数言語が並走すると、英語はステップ4、中国語はステップ2、韓国語はステップ6という状態が同時に存在する。どの言語がどこまで進んでいるかを見る場所が要る。

スプレッドシート管理の限界

翻訳の案件管理をスプレッドシートで行っているチームは多い。納期・担当翻訳者・進捗ステータス・ワード数などを列管理する形が一般的だ。

ただし、この方法にはいくつかの限界がある。

リアルタイム更新ができない。翻訳者が作業を完了したことを管理者が知るのは、翻訳者から連絡が来てはじめてだ。スプレッドシートの更新が翻訳者に委ねられている場合、更新漏れが出やすい。

修正指示の記録が散らばる。クライアントからの修正指示をスプレッドシートに転記する運用は手間がかかり、実際にはメールやチャットに修正内容が残るだけになることが多い。翻訳者が過去の修正内容を参照しようとすると、メールを遡る作業が発生する。

担当変更のたびに引き継ぎが必要になる。担当翻訳者が途中で変わるとき、前任者からの引き継ぎ内容をどこに記録するかが問題になる。

翻訳案件管理をタスクに整理する

翻訳案件の管理を整えるには、案件をタスクとして管理し、翻訳者を外部ゲストとして招待する構成が現実的だ。

案件ごとにタスクを作り、翻訳者を担当者として設定する。期日・ワード数・参照資料をタスクに紐づける。クライアントからの修正指示もタスクのコメントに記録する。こうすることで、「その案件に関するやり取りの履歴」がタスク上に積み重なる。

翻訳者が外部にいても、招待リンクを送るだけで同じタスクを見られる設計にすれば、進捗確認の連絡が減る。翻訳者が作業を完了したらタスクのステータスを変える、という運用にすると、管理者側で「今どこまで進んでいるか」をリアルタイムで把握できる。

クライアントごとの管理

翻訳会社では、クライアントごとにグループ(プロジェクト)を作り、そのグループ内にクライアントの各案件をタスクとして積み重ねていく構成が使いやすい。

クライアントが「今どの案件がどの状態か」を確認したいとき、クライアントをゲストとしてグループに招待する方法もある。アカウント登録を求めずURLだけで確認できる設計なら、クライアントの参加ハードルが下がる。

複数翻訳者を抱える場合

社内翻訳者と外部フリーランス翻訳者を組み合わせて案件を回しているチームでは、翻訳者の数が増えるほど管理コストが上がりやすい。

ゲスト招待の費用がゼロのツールを使うと、翻訳者が増えても月額が変わらない。繁忙期に外部翻訳者を一時的に増やすときも、費用を気にせず招待できる。

言語・担当者ごとに見せる範囲を分ける

英語の翻訳者が、中国語の原稿まで見る必要はない。クライアントに、翻訳者への発注単価を見せる必要もない。

案件ごと、言語ごとにグループを分けて、それぞれの翻訳者を該当のグループにだけ招待する運用にすると、誰に何を見せるかを最初から絞りやすい。クライアントは別のゲストとして招待し、確認と承認のタスクだけを見てもらう形にすれば、翻訳完了後の確認もツール上で完結する。


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