ウェブ制作会社の案件管理が難しいのは、工程と関係者の両方が多いからだ。
要件定義、ワイヤーフレーム、デザイン、コーディング、テスト、修正、納品——これらが複数クライアントの案件で並行して動く。しかも各工程に外部のデザイナーやコーダーが入ることが多く、「今どの案件がどの工程にいて、誰の手元にあるか」の把握が常にぼやける。
ウェブ制作でよく起きる管理の問題
制作会社のディレクターから聞く話はだいたい共通している。
クライアントからの修正フィードバックがメールとSlackに分散していて、最新の指示がどこにあるか分かりにくい。外注デザイナーへの依頼を口頭やチャットで伝えたが、進捗を確認するたびに連絡が必要になる。複数案件が並行しているとき、「今週どの案件に工数を使うか」の優先順位が毎朝立てにくい。
工程が多い分、どこかで確認の詰まりが起きても気づくのが遅れる。
工程をタスクの流れとして設計する
ウェブ制作の案件管理で最初にやるべきは、工程をタスクの流れとして設計することだ。
「要件確認」「ワイヤーフレーム作成」「クライアント確認」「デザイン」「クライアント確認」「コーディング」「テスト」「最終確認」「納品」——これをタスクとして持ち、工程が進むたびにステータスを動かす。タスクを見れば「今この案件のどこにいるか」が一目でわかる。
「クライアント確認」が工程の途中に複数回入るのが制作の特徴だ。ここでステータスが止まりやすい。「確認待ち」のステータスが何日も続いているタスクが可視化されると、催促が必要なものを能動的に拾えるようになる。
クライアントの修正フィードバックをタスクで受け取る
制作で確認のコストが高くなる原因の一つは、修正フィードバックの受け取り方だ。
クライアントからのフィードバックがメールで来たり、チャットのメッセージで来たり、通話で口頭で伝えられたりすると、「何を直すか」の情報が分散する。修正漏れが起きたとき、「あの修正、どこで言いましたっけ」を遡るのに時間がかかる。
タスクのコメント欄でフィードバックを受け取る設計にすると、「この案件の修正指示」が一か所に積み重なる。クライアントをゲストとして招待して、タスクに直接コメントを書いてもらう運用も取れる。修正の依頼日時と内容が記録として残り、対応済みかどうかもタスクのステータスで確認できる。
外注デザイナー・コーダーとの分業設計
ウェブ制作会社が外注を使う場合、依頼をどこで受け渡すかが管理の要になる。
外注先への依頼をチャットや口頭で行うと、「何を依頼したか」「どこまで完成しているか」の確認が個別連絡になる。タスクを立てて外注先をゲストとして招待する設計にすると、「このタスクをお願いしたい」「完了したらステータスを動かしてください」という運用ができる。
外注先がステータスを動かすと、こちらから確認連絡をしなくても進捗がわかる。「対応中のまま3日間動いていないタスク」が見えると、詰まっていることに気づいて声をかけられる。
案件ごとに外注先のメンバーが変わる制作会社の場合、招待に都度費用がかかるツールだと外注管理のコストが読めなくなる。ゲスト招待が何人でも無料のツールなら、案件の体制に関係なく同じ設計で回せる。
複数案件を横断して工数配分を判断する
制作ディレクターの仕事の難しさの一つは、複数案件の工数配分の判断だ。
A社の案件が今週中にデザイン確認が必要で、B社の案件はコーディングが詰まっていて、C社の新規案件のヒアリングが金曜に入っている——これらを同時に把握しながら、今週どこに工数を使うかを判断する。
タスクに期日が入っていて、期日ベースで「今週動かすべきタスク」が一覧できると、週初めの優先順位の判断が立てやすくなる。「今週の締め切りがある案件」「確認待ちで止まっている案件」「まだ余裕がある案件」を区別して見られる状態が、工数配分の判断の前提になる。
納品後の保守・追加依頼の管理
ウェブ制作会社のクライアント関係は納品で終わらないことが多い。サイトの更新依頼、機能追加、バナーの差し替え——定期的な保守業務が発生するクライアントとの関係は長期になる。
納品後の追加依頼もタスクとして管理する設計にしておくと、「この会社から今月どれだけの依頼が来ているか」「対応済みで未請求のものがないか」が把握しやすくなる。クライアントをゲストとして招待したまま継続的な関係を持つ設計は、長期のクライアント管理にも使いやすい。
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