社員の給与は、会社の評価の仕組みの中で、定期的に見直される。本人が何も言わなくても、評価面談があり、昇給の有無が伝えられる。給与を上げてほしいと自分から切り出す場面は、ないわけではないが、仕組みとしては、会社側から動くのが前提になっている。
外部の協力者が報酬を上げたいとき、事情はまったく違う。自分から「単価を見直してもらえないか」と切り出さない限り、報酬は何年たっても変わらないことが多い。待っているだけでは、何も起きない。
切り出す側にだけ、関係を壊すリスクがある
値上げを切り出すという行為には、関係を損ねるかもしれないという不安が伴う。「今の金額でも十分な利益を出しているはずなのに、強欲に見えないか」「断られたら、気まずくなって依頼が減るのではないか」。この不安が、切り出すタイミングを先延ばしにさせる。
発注する側には、この不安がない。何も言わなければ、今までどおりの金額で仕事が続く。関係を壊すリスクを負うのは、常に値上げを切り出す側、つまり外部の協力者だけだ。
据え置かれた単価は、物価や市場の変化を無視する
この非対称の結果、外部の協力者の単価は、何年も据え置かれたままになりやすい。市場の相場が上がっても、物価が上がっても、自分から言い出さない限り、金額は動かない。
発注する側は、特に悪意なく、古い単価のまま依頼を続ける。「前から変わっていないから、これが妥当な金額なのだろう」と、無意識のうちに思い込んでしまう。実際には、外部の協力者が、言い出せないまま、実質的な値下げを受け入れ続けているだけのことがある。
発注する側から、見直しの機会を作る
対応は、発注する側から、定期的に単価を見直す機会を作ることだ。
「年に一度、お互いの条件を見直す場を設けませんか」と、こちらから提案する。この一言があるだけで、外部の協力者は、関係を壊すリスクを負わずに、報酬の話を切り出せるようになる。見直しの結果、金額が変わらないこともあるだろう。それでも、「見直す機会があった」という事実が、関係の対等さを支える。
相場の変化を、こちらから伝える
もう一つできることは、相場の変化について、こちらから情報を共有することだ。
「最近、この分野の相場が上がっているようですね」と、外部の協力者が自分から切り出す前に、話題として持ち出す。これは、値上げを約束することとは違う。ただ、外部の協力者にとっては、「この発注元は、こちらの事情を気にかけてくれている」という安心材料になる。
待てる側から、動く
昇給が会社側から自然にやってくる社員と、自分から切り出さなければ何も変わらない外部の協力者。この違いは、能力や貢献度の差ではなく、仕組みの差でしかない。
待つだけでいい側にいる発注する側から、定期的な見直しの機会を作る。それだけで、外部の協力者が抱える、言い出せないまま据え置かれる不安は、大きく減る。
Paqutでは、案件ごとの実績やコメントが記録として残るので、見直しの場で、何をどれだけ担ってきたかを、振り返りながら話せます。
関連記事
断ることの非対称について:社員は無理な依頼を断れる。外部の協力者は、断ると関係ごと失うかもしれない。
支払いのタイミングについて:社員の給料日は会社が決める。外部の協力者の入金日も、実は発注側が決めている。
評価について:外部の人に届く評価は、「また頼むか」の一言しかない